輸送費用(個人・業者の違い)
全国展開の大手中古車販売チェーンは、全国の在庫を取り寄せる対応をしています。
また、買取した中古車については、4WDは豪雪地帯など需要が高い地域の販売店またはオークション会場に輸送することが多いです。
素人目線だと、わざわざ遠方に車を輸送するコストが無駄だと思われるかもしれませんが、車業者は個人よりも低コストで車を輸送できる環境を持っています。
今回のコラムは、車の輸送費用について解説いたします。
車の運搬方法
車の輸送費用は運搬方法によって変わってきます。
主な輸送費用は以下の3パターンです。
自走、 積載、 船便
乗用車の場合、短距離から中距離は積載。1,000km以上などの長距離は船便を使うケースが多く、遠方への輸送では船便+積載or自走を併用しています。
大半のケースで積載を含めた公道を走行する運搬をするため、車の運搬・輸送は「陸送」とも呼ばれています。
ここでポイントになるのは、積載が困難な車は輸送費用が高額になることです。
主に、極端なローダウンをしているカスタムカーと箱付き2トントラック以上など大きな車体の車は積載できません。
また、お届け先に大型トラックが入れない住宅街の場合も自走が必要になります。
個人が車の輸送を依頼する場合は、自宅へのお届けとデポ(陸送業者の拠点)発着の条件で料金が大きく変わります。
車を輸送する個人価格
車を輸送する個人価格は距離と業者によって変わります。
一例として、陸送業界最大手の「ゼロ(ZERO)」の料金をご覧ください。
乗用車(トヨタ/プリウス)の場合
東京-大阪(約500km) | 69,300円 |
東急-愛知(約300km) | 61,600円 |
仙台-大阪(約800km) | 88,000円 |
東京-福岡(約1,100km) | 89,100円 |
東京-札幌(約1,100km) | 89,100円 |
札幌-沖縄(約2,000km) | 198,000円 |
茨城-佐賀(約1,200km) | 102,300円 |
山形-和歌山(約800km) | 110,000円 |
ゼロのマイカー・オートバイ輸送サービスは、自宅への納車・引取に対応していて、業者の拠点まで自走。拠点間は積載もしくは船便になるケースが多いです。
紹介した料金の事例を見れば分かる通り、必ずしも距離と料金が比例するとは限りません。その理由は次の項目で紹介しています。
長距離は船便が安い
個人・業者を問わず、車の長距離輸送は船便の方が安いです。
前述で紹介した事例で東京-札幌や茨城-佐賀が比較的安いのは、船便の定期便が出ていることが関係しています。
東京-福岡も距離の割に安いのは、需要が高い路線でトレーラーによる定期便の多さが関係しているのでしょう。
船便の運賃一例として、商船三井フェリーで東京-博多便に4m以下の乗用車を乗せた場合の通常運賃は27,500円です。
港から港までの輸送料金になりますが、船便を活用した乗用車の国内輸送費用は高くても3~5万円程度の料金に収まります。
船便を活用する利便性が低いルートや、大型積載トラック(陸路)の定期便に乗れないルート(乗り継ぎ・中継が必要)になると、距離の割に運賃が割高になります。
車を輸送する業者価格
車を輸送(陸送)する業者およびフェリー会社は、定期的に利用する車関連の業者には特別価格で対応しています。
依頼件数や過去の取引実績、利用する業者の規模によって料金は大幅に変わりますが、多くのケースで個人価格の半額以下になります。
また、オークション会場やフェリーの停泊する港を発着にするルートは割安な価格設定で対応する業者が多いです。
一例として、某オークション会場からの輸送を専門に行っている陸送業者は、新規客であっても3万円以下の料金で全国輸送に対応しています。(離島や改造車・不動車を除く)
大口顧客になると、東京-大阪間で1.5~2万円程度など、個人価格に比べて1/3以下の料金になることも珍しくありません。
船便についても、業者価格は個人価格(通常価格)に比べて5~7割程度の料金で対応するケースが多いです。
さらに、全国展開の大手中古車販売チェーンになると自社で陸送を行っているため、格安業者を使うよりも1台あたりの輸送単価を下げています。
ただし、ある程度規模の大きい中古車業者であれば、陸送業者を利用しても自社運搬に近い低価格で依頼できるため、自社で長距離輸送を行っている大手の方が圧倒的に有利というワケではありません。
おわりに
車買取業者は、オークション会場や遠方の拠点に安く輸送するノウハウを持っています。
大半のケースで1台あたり1~3万円程度の料金に収まるため、輸送コストをかけてでも高く売れやすい地域に持っていった方が得策だと考えています。
また、一部の中古車販売店は、希望すれば遠方の在庫を最寄りの拠点に運ぶサービスを用意し、成約しなくても料金を取っていません。
こうしたサービスをしているのは、輸送コストをかけてでも早期売却・値引きなしの成約で利益を出した方がトータルで利幅が高くなる計算をしているからです。
これから中古車を買う方は、ヤフオクなどの個人売買で遠方の中古車を買って個人向け陸送サービスを使うよりも、ある程度規模が大きい中古車販売店から遠方の在庫を取り寄せてもらった方が安くなるケースが多いです。
車を売る方の場合は、専門性の高い買取業者は車種や装備・グレードに応じて売れやすい地域に安く運ぶノウハウを持っていることを覚えておきましょう。
売却する地域で需要が低い条件の車でも、全国展開の大手(自社で輸送をしている所)だけに絞り込んで検討する必要はありません。