運転免許証の自主返納方法と特典
高齢ドライバーの事故多発を受けて、1998年より運転免許証の自主返納(運転免許の申請取消)ができるようになりました。
昨今は、高齢ドライバーが加害者になる人身事故が増加し、頻繁にニュースで取り上げられていることから、免許の返納を検討する方が増えています。
免許の返納方法は管轄地域の運転免許センター(試験場)もしくは警察署に免許証と認印(地域によっては印鑑不要)を持って、申請用紙を記入して提出するだけです。
反射神経の低下など運転に不安を感じるようになったら、早めに免許返納することを検討しましょう。
なお、車は運転しないけど免許証がないと普段持ち歩く身分証明書がなくなると困る意見を受けて、2002年より免許の自主返納をした方を対象に「運転経歴証明書」を発行できるようになりました。
運転経歴証明書を発行(要申請)すれば、免許証と同じように身分証明書として活用できます。
昨今は、免許の自主返納者を対象に運転経歴証明書を提示すると割引するサービスや、警察・自治体が公共交通機関のチケットなどをプレゼントする特典が全国で広がっています。
免許返納の特典内容は地域によって異なりますが、免許の自主返納は多数のメリットがあり、今後も増えていく見込みです。
免許の返納方法はとっても簡単
ベテランドライバーの方は何度も免許の更新をした経験があると思います。
免許の返納場所は免許を更新する場所と同じで、管轄の警察署か都道府県に設置された免許センター(試験場)です。
受付時間は主に平日の日中(警察署は昼休み有り)、運転免許センターによっては土日祝日の受付を行っている場合もあります。
免許の返納だけであれば、返納場所に用意された申請用紙に記入して免許証と一緒に提出するだけの簡単な手続き内容です。
自治体によっては申請書に捺印を求められることもあるので、念のため印鑑も持って行くと安心です。
簡単な手続きで返納できますが、自主返納申請を受理されると原則キャンセルができないので注意してください。
免許を返納する際は家族に相談してから申請手続きを進めましょう。
運転経歴証明書の発行申請を同時に行う
運転経歴証明書の発行申請は免許返納と同時にできます。
運転免許の全部取消を行ってから5年以内であればいつでも発行できますが、免許返納と一緒に申請することをおすすめします。
運転経歴証明書の発行申請には半年以内に取った顔写真が必要です。
警察署であれば交通安全協会(免許更新や車庫証明の印紙を売っている窓口)、運転免許センターであれば施設内に証明写真を作れる設備が用意されています。
現地で写真を用意することもできますが、事前に写真を自分で用意する場合は縦3cm×横2.4cmのサイズの証明写真を用意しておきましょう。
なお、運転経歴証明書の発行には1,000円の手数料がかかり、免許の返納と同時に行わない場合は以下のいずれかの身分証明書が必要です。
住民票(マイナンバーの記載がないもの)
マイナンバーカード(個人番号カード)
健康保険証
パスポート
在留カード
※免許返納と同時に行う場合は不要
なお、運転経歴証明書は違反による免許取消や免許停止処分の行政処分を受けている場合は発行できません。
代理人でも手続きできる?
免許を返納する人が高齢で、本人が警察署や運転免許センターに足を運ぶのが困難な場合は、家族などの代理人が手続きできます。
ただし免許の返納と運転経歴証明書の申請を同時に行う場合、地域によっては運転免許センター(試験場)のみの対応になるケースもあるので、事前に確認しておいてください。
必要書類は運転免許証、証明写真(運転経歴証明書発行の場合)のほか、委任状を事前に用意しておく必要があります。
警察庁(東京都)のホームページでは委任状のフォーマットをダウンロードでき、東京都での手続き方法を解説しています。
代理人が手続きする場合は、お住まいの警察、運転免許センター等のホームページを確認するか、電話問い合わせをして申請できる場所や申請時の注意点を確認しておきましょう。
・警察庁「運転免許証の自主返納と同時に運転経歴証明書の交付申請をする方」
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/menkyo/koshin/jisyu_hennou/henno_kofu.html
豊富な特典をフル活用
免許の自主返納および運転経歴証明書の発行を行うと、自治体や各種民間サービスより以下の特典を利用できるケースがあります。
公共交通機関のチケットプレゼント
地域限定の商品兼プレゼント
お店や旅館などの利用料金割引
お店のポイント付与率アップ
購入した商品の自宅発送無料サービス
信用金庫の貯金口座が金利上乗せ
特典内容は地域によって異なり、一部の自治体では免許返納後○ヶ月以内など有効期限を設定している場合があるので注意してください。
警察署や運転免許センターは自主返納の特典や有効期限の案内をしてもらえないケースもあります。
まずは自分で自治体もしくは都道府県の警察のホームページや問い合わせをして受けられる特典の内容を確認しておきましょう。
車の運転をやめる基準は?
警察庁では、65歳以上の高齢ドライバーの事故率が増加傾向にあることから、安全運転の呼びかけを行っています。 事故全体に占める高齢運転者の事故割合が増加していることから、「自分はまだ大丈夫」だと思っていても、早めに運転をやめる検討を始めるべきです。
警察庁「防ごう!高齢者の交通事故!」
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html#cmsC45AD
車の運転をできる上限年齢に法的な定めがないので最終的には各ドライバーの自己判断になります。
コインパーキングのタイムズを運営するパーク24がポイント会員8,021人を対象に行ったアンケート調査では、約80%が運転できるのは75歳まで思っていると回答しています。
運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならない決まりがあり、個人タクシーでは定年の年齢が75歳(平成14年2月1日以降に免許を取得した場合)に定められています。
各種データや規則を見るかぎり、75歳がひとつのボーダーラインだと言えます。
しかし、ニュースで報道されている高齢ドライバーの事故は65歳から74歳の方が加害者になっているケースも多く、警察庁のデータと照らし合わせても75歳より前から運転をやめることを検討するべきです。
多くの方は、○○歳になったら運転をやめようと考えていても、実際に歳を重ねていくと「まだ大丈夫」と安易に考えてしまうケースが多いです。
年齢はあくまでも目安になり、加齢による衰えや認知症の進行には個人差があります。
65歳を過ぎてヒヤリハットが増えたと実感したら、早めに免許の自主返納を検討するようにしましょう。
高齢ドライバーだからこそ安全装備が付いた最新モデルの車に買い換える
高齢ドライバーは「あと数年しか乗らないから・・・」、「近所の買い物でしか車は使わない」などの理由で古い車に乗り続けている方が多いです。
高齢ドライバーの事故では、アクセル・ブレーキの踏み間違いや、第一次事故発生など予期せぬ事態をキッカケにアクセルを緩めることができず重大事故に発展するケースが多いです。
事故の発生確率が高い高齢ドライバーは、自動ブレーキや踏み間違い防止機能が付いた最新モデルの乗用車に代替することをおすすめします。
自分自身と同乗者の安全を考えれば、古い軽自動車に乗り続けるのは特に危険です。
そろそろ車の運転をやめようと考えている方こそ、安全装備が充実している最新モデルへの代替を検討してみてください。
自動ブレーキが付いていても100%事故を防ぐことはできませんが、事故発生確率だけではなく重大事故に発展するリスクを確実に軽減できます。
相次ぐ高齢者の事故問題を受け、65歳以上の方を対象に最大10万円を支給する「サポカー補助金」が導入されました。
令和3年度も継続することが決まっていますので、65歳以上で追突・誤発進防止機能が付いていない車に乗っている方は、代替を前向きにご検討ください。
ひとつの事故が人生を台無しにする
交通事故は人生を台無しにする恐れがあり、高齢ドライバーも例外ではありません。
仕事を定年退職して子育てが終わったので失うものは何もないと思っていても、死亡事故の当事者になれば人生最大の後悔になり、状況によって子供や孫など親族の人生にも影響を与えます。
もちろん、被害者の人生を終わらせてしまうリスクもあるので、交通事故の加害者になるリスクに年齢は関係ありません。
65歳以上の高齢ドライバーになると事故率が増えることは警察庁の統計で明確になっていますし、大半の人は自分が思っている以上に認知症や反射神経の衰えが進行しているものです。
65歳以上で、いずれは運転をやめることを考えないといけないと思っているのであれば、少しでも早めに免許返納する方向で検討してみてください。
免許返納や安全性の高い最新モデルへの代替で車を売る時は、愛車を少しでも高く評価してくれる業者へ売却しましょう。
元車買取業の営業マンだった私の経験上、運転をやめることをキッカケに車を売却する人は業者に安く買い叩かれる事例が多いです。
特に長年お世話になっている理由などでディーラー(販売店)に相場より数十万円も安く売ってしまうケースが多く見られます。
複数社の出張査定を受ける時間を作れるのであれば、一括査定サービスを利用して最低でも2社以上を競合させることで、適正相場以上の高額売却をできる可能性が大幅に高まります。