査定を受ける時期
車を売る時は代替や転居、駐車場の更新、車検など期日の決まっているケースが多いです。
査定を受ける時期はタイムリミットから逆算して考える必要があります。
最短では、買取業者に問い合わせをした日に出張か店頭で査定を受けて、そのまま車を引き渡すこともできますが、高く売るためには時間に余裕を持った行動をして、しっかり複数社比較しましょう。
また、車の買取価格は時期によって変わってきます。基本的に経年劣化とともに価値は下がっていくので1日でも早い方が高く売れやすいです。
「新車購入時の値引きのように決算や月末など、価格交渉の有利な時期はないか?」
こうした質問をよく頂きます。業者都合の時期やタイミングも関係はありますが、全ての業者に共通した有利な時期はありません。
元買取店スタッフの私が業者の内情を含めて査定を受ける適切な時期をアドバイスします。
査定を受ける時期は引渡し希望日の1ヶ月前
私の経験上、希望引き渡し日の決まっている場合は1ヶ月前には動き始めた方がいいです。
タイムリミットが迫っていると、満足のいく比較ができず業者の巧みな話術に乗せられて早期契約してしまう事例が多いです。
平日も査定対応できる場合は最低でも1週間前、できれば2週間以上の売却活動期間を下限で見ておいた方がいいです。
前もって動ける場合でも査定を受けるのは引き渡し希望日から2ヶ月以内までに抑えておくべきです。2ヶ月以上先の売却相談になると業者も本気の査定を出そうとしません。
1ヶ月経過すると中古車相場の変動することもありますが、高年式など短期的に相場変動リスクの高い車種は、買取店の無料代車による対応をしてもらえることもあります。
家族構成で3列シートのミニバンが必要だったり、立体駐車場の都合で高さ制限1.55m以下の車種でないと停められないなど、代車の車種に制約のある場合は1ヶ月を切ったくらいから動き始めることをオススメします。
2ヶ月以上になると無料代車による対応も難しくなってきます。
(長期利用の無料代車を用意することで買取価格を減額されることもある)
時間に余裕があれば多少のハッタリが通用する
買取価格の限界値を引き出すには、高い水準の比較材料があると有利です。
具体的には他社から○○万円の査定が出ている話です。
複数社から査定を取っていれば、必然的に最高値は競り上がって限界価格に近い水準になっています。
1社ずつ順番に査定を受ける場合は、早いタイミングで査定を受ける業者は比較材料が少ないため、業者は他社と比較させないように安い価格で即決させようとしてきます。
時間に余裕があれば、実際に提示された金額から色をつけたハッタリ価格を提示すると効果的です。
明らかに相場より高すぎる数字だと嘘だとバレるので情報収集もしっかりして、ギリギリ行けそうな数字を提示しましょう。
業者によっては、ハッタリ価格を提示した結果、うちは無理とすぐに諦めてしまうこともあります。
自分から他社の価格を提示した手前、いくらまでなら可能なのか確認することはできず、条件提示なしで商談が終了するケースもあります。
ハッタリ価格を提示して業者のリアクションがあまりにも渋い場合は、相場を超えた金額の可能性があるので条件を引き下げましょう。
実際には出ていない条件を提示すると、売却先の見つからない可能性も出てきます。希望引き渡し日の1ヶ月前であれば、ハッタリによるギャンブル商談に失敗しても、違う一括査定サイトや買取サービスでイチから査定依頼する時間を作れます。
時間に余裕のある場合は即決しないマイルールを作る
最終的に最高値で売るには即決をチラつかせることも大切です。
すでに複数社の査定を取って限界値が分かってきた時は即決を餌に最後のひと押しをしましょう。
時間に余裕のある場合は、即決をしないで価格交渉をして業者の反応を1社ずつ見ていく方法も有効です。
「他社からは○○万円の査定が出ていて、もうひと押しできそうな手応えがある」
「もし提示した条件より高い査定を出す業者が出たら、売る前に一本連絡を欲しいと言われている」
このような言い方をして、他社ならまだ余力はあるけどオタクの業者はどうですか?といった交渉をするといいでしょう。
赤字スレスレの価格帯で交渉していると、降りてしまう業者も出てきますが、安く売ってしまうリスクは軽減できます。
今日売ってくれれば・・・という即決限定の条件提示をしてくる業者もいますが、大半のケースでは一度断って後日連絡をすれば同じ価格で買取してくれます。
ただし、ハッタリによる交渉はうまくいかないこともあるので、引き渡し日までタイムリミットの少ない場合や、失敗した時にイチから他の業者の査定を受ける手間をかけられない場合にはオススメできません。
業者都合は深く考えない
新車の値引き交渉と違って車の買取(査定)価格の交渉は業者都合のタイミングで変動する要素は少ないです。
新車はメーカーから販売店に奨励金を出していて、一定の水準(ノルマ)に達すると奨励金の単価がアップします。
ほかにも業界用語で「対策」というメーカーから値引き補助を行う制度があり、対策の有無や金額、適用条件は月ごとに変わります。
そのため、奨励金を獲得する目標に向かって赤字価格の大幅値引きをしたり、対策の優遇されている時期を過ぎると条件の下がってしまうことが出てきます。
新車購入時の下取り価格についても、メーカーより下取車有りを条件にした対策が出ている場合があります。
買取の場合は新車と違ってメーカーからの奨励金や対策金の概念がなく、自社都合のタイミングしかありません。
高く売れるタイミングと理由の一例を紹介します。
・業者の決算前の都合
あと少しで前期の実績を上回れるなど
・月末、週末の競争需要
複数店舗展開しているチェーンにおいて、成約台数が他店より少なくて本部への報告の数字を良くしたい
・バックオーダーを抱えている
今仕入れれば、自社販売できる見込みがある
全ての理由で業者の内情を知らないと最適な売り時は分かりません。
業者都合のタイミングで利益率の少ない価格で買取してもらえることと、利益率重視の強気な商談をされるケースがあるのは事実です。
複数の業者を比較すれば、赤字覚悟の特別条件でもいいと思って対応してくれる業者に引っかかる可能性が高くなります。
年末は早く売った方がいいって話は本当?
業者の謳い文句で、年末になると年越し前に決めるように勧められます。
年を越すと車の経年数が1年下がることを理由にしたもので、実際に車は登録日から丸何年ではなく初度登録した年と現在の年で何年落ちという表現を使います。
たとえば、2019年を基準に2014年式の車を見た場合、登録月は1月でも12月でも同じ5年落ちの表現を使います。
2020年になった瞬間、6年落ちに変わるので業者の年内売却を推奨する理由に根拠はあります。
しかし、実際に年末と年明けの価格で極端な差が出ることは少ないです。
5年落ち以内の場合であれば、何年落ちかではなくメーカー保証の都合で初度登録から丸5年もしくは3年の車検を迎えているかが重要になり、5年以上経過すると1年ごとに価値の下がる割合が少なくなってきます。
早いに越したことはないのですが、本来の希望売却日が1月や2月という状況の中で無理して年末に売却する必要性は低いです。
おわりに
車を1番高く売れる時期はタイミング次第です。
買取業者は業者用オークションの落札価格を基準に査定価格を決めています。
相場は存在しますが、通常相場より高く売れることもあれば安く売れることもあります。
成約時期を遅らせることで安い落札事例の出た場合はネガティブに判断されますし、たまたま競り合って高値のついた落札実績ができると、買取業者はもう少し頑張ってみようという気になることもあります。
つまり、本当に高く売れる時期は査定を受けるなど行動してみないと分かりません。
個人から見れば売った後でも適切なタイミングだったか見極めるのは困難です。
業者の都合や市場動向などはあまり深く考えずに、まずは自分の売りたい時期を最優先して売却活動をスタートさせましょう。
代替ではなくほとんど乗っていない車を処分する場合など、売却時期にこだわりがなければ、少しでも早く売った方が有利です。
すぐに売りたい場合でも焦って決めるのではなく、複数社からの比較をしっかり行い、売却までの期間を1ヶ月ほど見ておくと失敗リスクを緩和できます。
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