3年落ちの中古車買取額に変化

高騰する中古車買取額

2019年夏、某車買取店の店長より気になる暴露情報をキャッチしました。
内容は「最近、新車ディーラーの下取でボッタクリ査定を出す事例が増えている」、そして「初回車検など3年落ち程度の高年式中古車の買取価格が高騰している」。
この実態について、最新の中古車動向を元に原因を分析してみました。

結論を先にお伝えすると、これまで新車を買っていたユーザーが高年式の中古車購入に流れて中古車の市場規模が成長しているのに対して、乗用車の平均代替サイクルが長くなっています。

結果的に3年落ち前後の高年式中古車は需要と供給のバランスが崩れて価格高騰が起こっています。

ディーラー下取りの動向

車買取専門店が普及した90年代までは、ディーラーでの下取り価格が相場より極端に低く、下取りよりも高価買取を期待できる買取専門店が流行しました。

その後、2000年代に入ると、各販売会社(ディーラー)は下取付帯率の低下を問題視するようになり、下取価格を従来のマニュアル査定からオークション相場を参考にした買取専門店と同様の裁量査定に変化させていきます。

トヨタのT-UPをはじめ、中古車の販売・買取に特化した店舗を出す事例が増えていて、2019年8月にはホンダが全国の販売店で中古車在庫情報の共有を始めるなど、現在もディーラーが中古車事業に力を入れる傾向は続いています。

買取専門店とディーラー下取りの査定格差が縮まる傾向が長年続いていた中で、ディーラー下取りのボッタクリ価格が増える暴露情報は意外なものでした。

平均代替サイクル9年超の時代へ

昔は新車の平均代替サイクルは5年と言われていましたが、2000年代には平均7年に増加し、昨今は平均9年が乗用車の代替サイクルと言われています。
内閣府の発表している消費動向調査では、2人世帯以上の新車平均代替サイクルは、1983年が5.5年だったのに対して緩やかに代替サイクルの長期化が進んでいき、2017年の調査で初めて9.0年の大台を突破しました。

2019年の最新調査では2人以上の世帯9.3年、単身世帯7.2年(2017年2018年は単身世帯も9年超え)の統計データが出ています。

平均代替サイクルが伸びているのは、乗用車の性能・耐久性が向上したほか、若者の車離れをはじめ、新型車に乗ることをステータスに感じる人が減少するなど消費者の価値観が変化したことも大きく関係しています。

中古車市場は10%以上の伸び率

中古車販売情報大手のカーセンサーが発表した「中古車購入実態調査」によると、中古車市場規模の推計は3兆4,396億円となり、前年から4,000億円(10%)以上も増加する結果が出ていて、カーセンサーでは中古車市場が成長した要因として、これまで新車を購入していた客層が中古車を購入したことを挙げています。

新車購入検討層は高年式の中古を狙う需要が高く、平均代替サイクルが伸びて高年式の中古車が減っているのに対して、これまで新車を買っていたユーザーが中古車市場へ流れてきたことで、高年式の中古車が供給不足に陥っていることが伺えます。

参考カーセンサー中古車購入実態調査2018
http://www.recruit-mp.co.jp/news/20190516_01.pdf

3年落ち乗用車買取の目安は50~60%

中古車買取を見積もりする男性

新車の乗用車を購入して3年で売却した場合、買取額は新車購入時の50%前後が目安だと言われています。
これは昔から変わらない全体平均の目安になるのですが、2007年のリーマンショック以降は、3年で売却すると買取価格が50%を下回る水準まで買取相場が下落しました。
その後は緩やかに回復を続け、ここ数年は日米の株式指標高騰が示すように景気が回復し、安定して50%の水準を上回ってきています。

さらに、前述した高年式中古車の供給不足によって、最新の中古買取相場は3年落ちで55~60%が目安に変化してきました。

一方で、未だに「3年売却=50%」の目安が世間に広く根付いているため、3年サイクルで新車に代替する人はディーラーから50%程度の査定提示を受けた際に、適正相場だと勘違いして即決してしまう人が多いのでしょう。

3年落ちなど高年式の乗用車は、価格が高騰しているものの供給不足に陥っているため、在庫回転率が高く、中古車業者が喉から手の出るくらい欲しがっている好条件の車です。
複数の業者を比較すれば大幅に跳ね上がる可能性があるので、ディーラーによる下取り査定だけで売却先を決めてはいけません。