新型コロナウイルスが与える影響

コロナウイルスの症状

はじめに、この記事は2020年3月中旬に作成したものです。
すでに新型コロナウイルスは欧米をはじめ世界に蔓延して株価は歴史的な暴落、為替レートはドル円で直近高値から10円以上の円高、大規模イベントの自粛など経済・生活環境に大きな変化が出ています。

この先数ヶ月で、かつてのリーマンショックを大幅に超える経済打撃を与える可能性がある一方で、終息して経済が通常運行に戻っている可能性もあるでしょう。
今回の記事では、リーマンショック時に与えた中古車市場への影響を元に、新型コロナウイルスショックがリーマンショック級に経済打撃を与えた場合の中古車相場を分析しています。

当サイトの見解では、リーマンショック発生時とは経済・車市場の動向が異なるため、リーマンショック以上に中古車価格および売却時の査定価格が下落すると見込んでいます。

リーマンショックが与えた影響

リーマンショックのイメージ

2007年のリーマンショック発生時は、新車販売の低迷ならびに中古車市場全体の価格が下落しました。
その中でも、高級外車・商用車・海外で人気の輸出需要が高い車種の中古価格下落幅が大きかったです。
中古車相場が下落した要因は、需要の低下と円高による影響の2種類があります。

新車・中古車販売台数の推移

日本自動車工業会による統計資料を元に、リーマンショック前のITバブルだった2005年、
リーマンショック後の2009年、東日本大震災が発生した2011年、
アベノミクス効果でリーマンショック以前の経済成長に回復した2018年の販売台数データをまとめました。

リーマンショックのイメージ

普通車 → 主に3ナンバー
小型四輪車 → 主に5ナンバー

ご覧の通り、リーマンショック後は新車・中古車ともに販売台数が大きく落ち込んでいます。
国内の流通量が少なくなると、必然的に中古車相場も下落する傾向が強いです。
なお、トラックについてはディーゼル車の排ガス対策が改善された影響で販売台数の戻りが鈍くなっています。

円高の影響

リーマンショック時はドル円レートが124円から1年かけて87円付近まで円高に動きました。
円高になると海外輸出で得た外貨を日本円へ両替した際の受領額が少なくなるため、輸出向け中古車の買取価格が安くなります。

ちなみに、中古車販売店を経営する著者の知人が、2010年頃1ドル90円前後の時に中古車オークションで車積載トラック(ローダー)を150万円で落札し、2013年の1ドル105円程度の時に中古車オークションへ出品した所、250万円で落札されました。
このように為替レートの影響は、円レートの騰落率よりも中古車相場変動幅の方が大きくなりやすいです。
円高に推移すれば、輸出で人気が高い中古車の国内取引需要が激減するので注意しましょう。

不景気による需要低下

車は高価な買い物で、買い換えなくても車検を通して長く乗ることができます。
また、商用車・乗用車ともに企業が営業用として使う需要が高く、好景気になると営業車の増車・代替が増えることも、景気と販売台数が連動する要因です。
景気が悪くなれば、車検時に代替をしない人が増加し、新車・中古車それぞれの需要が減少します。
中古車価格(売却時の査定価格)は需要と供給のバランスで相場が変動するため、不景気になれば必然的に中古車相場が下落するものです。

特に高級外車は景気の影響を受けやすく、新車購入3年目の売却相場は購入価格の50%が相場だった所、リーマンショック後は30%ほどに低下する事例が相次ぎました。
軽自動車やコンパクトカーの中古車は、不景気を理由にダウンサイジングをする需要によって、中古車相場は比較的安定しやすいです。

コロナの影響は過去最大級?

マスク

当サイトの見解では、新型コロナウイルスショックの影響が一定水準を超えた場合、経済損失額の大きさを問わず中古車市場へ与える影響は過去最大級になると予想しています。
新型コロナウイルスによる直接的な影響だけではなく、リーマンショックの時に比べて車市場全体が不況・円高などネガティブな影響を大きく受けやすい状況にあることが理由です。
将来の中古価格を確実に予測するのは困難ですが、適切な売却時期を逃さないためにも以下の不安要素を頭の中に入れておいてください。

エコカーブームの終焉

リーマンショックの後には、納車1年待ちなど歴史的な大ヒットを遂げたトヨタ・プリウスをはじめ、軽自動車の低燃費競争が始まるなど空前のエコカーブームが起こりました。
そのため、「景気が悪い」、「家計が苦しい」といった理由で、維持費が安いエコカー・コンパクトカー・軽自動車へ乗り換える人が増加します。
2009年から2010年にかけてはエコカーの購入で10万円、13年超えの車からの代替で25万円を受け取れるエコカー補助金が追い風になりました。

現在もエコカー・軽自動車は高い人気を維持していますが、リーマンショックの時に比べて普及率が大幅に高まっています。
燃費性能の向上は頭打ち状態なので、新型コロナウイルスショックが深刻化しても、維持費の節約を理由に代替する需要は高まらないでしょう。
新型コロナウイルスショックでは、軽自動車とコンパクトカーがリーマンショックの時よりも買取相場が下落するかもしれません。

車を持たない選択肢

昨今はカーシェアの普及が著しく、景気の影響なしに車を手放す方が増えています。
カーシェアの需要は今後も拡大するほか、無人受付のレンタカーも普及していく見込みです。

新型コロナウイルスが長期化すれば、公共交通機関ではなくマイカー移動を重視する需要が高まる可能性もありますが、経済への影響だけを見た場合、不景気になれば車を保有しない人が増えていくでしょう。
また、相次ぐ高齢者の人身事故で車の売却・免許を返納する方が増えています。

深刻化する若者の車離れと人口減少・少子高齢化も追い打ちになり、不景気になればかつてないほどの中古車供給過多状態に陥るかもしれません。

おわりに

中古車と電卓

新型コロナウイルスの影響は、リーマンショックを超えて歴史に名を残す出来事になる可能性があります。
今後のウイルス蔓延・終息および経済への影響を確実に予測することは困難ですが、現時点では将来的に車を売る時の買取価格が全般的に下落する可能性が高いでしょう。

今後、さらなる世界的な流行が進んで経済損失が大きくなりそうな場合は、状況に応じて車を売る時期を前倒しできないか検討してみてください。
経済が不安定な時期は数ヶ月違うだけで中古車相場が20%以上下落するケースがあります。

リーマンショックの時は、リーマン破綻時から主要な株価指数が底をつけるまでに半年かかり、経済が回復するまでに5年以上かかりました。
暖かくなって新型コロナウイルスの流行が終わっても、経済損失が大きければ中古車相場の下落が長期化するかもしれません。

早期終息で経済が何もなかったかのようにV字回復。さらには財政支援・金融緩和の影響でバブルになる可能性もありますが、近い将来に車を売る予定がある方は経済動向を注視しておきましょう。
日経平均・ダウ工業30種など日米の主要な株価指数の暴落や、為替の対ドルレートが急速な円高になった際は、中古車市場へ影響が出やすくなります。