高グレード車の買取は不利?
車を売る時の価格は需要と供給のバランスで決まります。
従来は高グレード・メーカーオプション付きの車は人気があり、最上級グレードや○○パッケージの付いている車は通常グレードより高く売れる傾向がありました。
現在も一部の車種で高グレードの中古車に人気が集中していますが、以前に比べて高グレード車が5年落ちを目安に値崩れを起こすケースが増えています。
特に先進装備の充実した車種は買値に対して売値が安くなりやすいので注意しましょう。
毎年のように進化する先進装備
新車に比べて安く買える中古車では、豪華な装備がついた車に人気が集中します。
新車を買える予算があるけど、中古車でいいから上位モデルに乗りたいといった理由で中古車を購入する需要も高いです。
こうした特性から、安く買えるエントリーモデルは売る時に安くなり、新車購入のハードルが高いハイグレード・オプション付きモデルは高値で取引されるのが中古車業界のセオリーでした。
しかし、昨今は自動ブレーキをはじめとした先進装備が頻繁にアップデートされる傾向が強く、多数の装備が付いた上位モデルの車種は数年後に仕組みそのものが古くなってしまいます。
中古車購入時の予算を高く設定できる買い手は、現行モデルに比べて先進装備の内容が遅れていると感じれば購入を見送るため、買い手がつきにくくなってしまう仕組みです。
今後も先進装備のアップデートが頻繁に行われる見込みなので、新車や中古の上位モデルor先進装備のオプション付きを買う場合は、売却時期を早めに設定するか乗り潰す覚悟を持つと良いでしょう。
新車値引きと買取相場の関係
車を将来売る時の買取相場は新車値引きと密接な関係がありました。
大幅値引きで叩き売りを繰り返す車種は安く、値引きを引き締める車種は売る時の条件が有利になりやすいです。
代表的な事例として、新車値引きをほとんど行わないレクサスは中古車市場で人気が高く、欧州の外車やトヨタの高級セダンよりもレクサスブランドは高評価されています。
新車値引きをしない車種は中古で買おうとする需要が高くなり、売る時に高値が付きやすくなる仕組みです。
しかし、頻繁に変わる先進装備のアプデートによって、値引きを引き締めているメーカーや車種が5年前後を目安に値崩れを起こす事例が増加しています。
その象徴的な事例が2012年発売のCX-5の発売から始まったSKYACTIV技術で人気を集めているマツダです。
マツダはCX-5より値引きを引き締める販売戦略にシフトし、ディーラーのショールームも高級感の高い店舗への改装が進んでいます。
黒を基調にしたシックな雰囲気のディーラーが増え、値引きをしない販売戦略はまるでレクサスを真似しているようです。
そんなマツダは、値引きを引き締めてから中古車市場での評価が高まり、一時は低迷していた大幅値引き戦略時代の「マツダ地獄」という買う時は安くても売る時に悲惨な状況になるブランドイメージを払拭されたように見えました。
しかし、2016年以降から初期型モデルの価格が他メーカーの同等車種と同じような水準に落ち着いてしまいました。
理由は紹介している通り、初期型に搭載していた先進装備が現行モデルよりも劣る内容になってしまったからです。
マツダは欧州車のように毎年のようにイヤーモデルごとのランニングチェンジを行う戦略が裏目に出てしまったのでしょう。
スタイリングの変更ではなく、安全性や快適性に関わる先進装備で新型と差が出たことも関係しています。
結果的にマツダは値引きをしないけどリセールバリューの恩恵を受けられない悪い噂が広がってしまい、昨今は国内での販売低迷が際立ち、魅力的な新型を投入しても売れ行きが今ひとつになってしまいました。
高グレード車は3年での代替が◎
2007年のリーマンショック以降は新車から3年で売ると査定額が安くなることを理由に、5年や7年以上の代替サイクルがトレンドになりました。
昨今は先進装備の賞味期限が短くなっているほか、市場全体で3年落ちの中古車が高く売れるように変化しています。
一昔前は3年よりも5年の代替がお得と言われていましたが、現在は5年や7年の代替サイクルが先進装備の評価減点などによって不利な状況に陥りやすいです。
中古車業界の動向はトレンドや環境の変化で頻繁に変わっているので、最新動向を元に適切な売り時を見極めましょう。
3年落ちの中古車価格が変化している最新動向については、こちらの記事でも紹介しています。