ガリバーの「クレームガード」とは
大手中古車チェーン店を中心に中古車買取におけるクレームガードという有償オプションの保険サービスが普及しています。
クレームガードとは、車の引渡し後に事故修復歴や故障、不良箇所などが見つかった場合に、売却者が本来負担するべき査定減額分の負担を保証するサービスです。
車を売るお客は、契約時にクレームガード保険に入るか任意で選べます。
お客のリスクを軽減する制度のように見えますが、クレームガードは業者にとって丸儲けのオプションです。
クレームガードって必要!?
私が勤務していた買取専門店では、クレームガードの取り扱い自体がありませんでした。
その理由は、教育されたプロの査定士であれば事故修復歴やその他の不具合の見落としをする事はほとんどありません。
また、実際に不具合や修復歴の見落としがあったとしても、それは見抜けなかった業者の責任として損失は業者側が負担していました。
こうした業者の落ち度でなくても、車は機械の塊なので受け渡し後に故障が発生する事も実際にあります。
買取した車を引き上げて帰りの道中で不具合が発生したなんて経験もありました。
このようなお客にも業者にも落ち度が無いトラブルでも、修理費用は業者が負担していました。
中古車買取の契約書には、瑕疵責任として査定時の見落としや受け渡し直後の故障は売却者のお客様が負担するように定められているものです。
分かりやすくいえば、業者側のクーリングオフのようなもので、受け渡し後でも一定期間内に特定条件が揃えば、契約した買取額を変更できるようになっています。
しかし、契約して車を引き上げた後に、お客に返金請求すると当然トラブルになりますし、そこで時間と手間を費やすのであれば、損失を受け入れて次の仕事を取ってきた方が有益になるというのが私の勤務していた業者の概念でした。
査定スタッフに正しい教育を行っている優良業者であれば、引き上げ後のトラブルはほんのごく一部で、買取実績豊富な業者であれば大きな痛手にはなりません。
本題に戻ってクレームガードの必要性についてですが、車の状態に不安があり買取業者からクレームガードを勧められた場合は入った方が無難です。
万が一、受け渡し後に見落としなどのトラブルがあった場合、クレームガードを案内した事を言い訳に返金請求される場合があります。
特に現金買取ではなく、後日買取金額を振込で支払う場合はクレームガードに入っておいた方が安心でしょう。
新車のワンオーナー車やディーラーの認定中古車で購入して、点検整備をしっかり行っていたなど、事故修復歴がなく車の状態に自信があれば加入する必要はありません。
また、万が一車の受け渡し後に見落としや不具合による返金請求をされても、すでに買取金額を受け取っていれば、その業者を無視して逃げきれる可能性もあります。
業者もその場限りの取引の個人客を相手にイチイチ訴訟を起こしている暇もありません。
また、減額幅が数万円程度であれば、最初の連絡で返金に応じない意思表示をすれば、査定した営業スタッフが自腹で解決するケースもあります。
もしクレームガードに入る場合は、必ずその費用を差し引いた金額で他社と比較検討してください。
クレームガード制度について確認するべき?
現在、クレームガードを扱っている業者で有名なのは全国展開の大手チェーン店のガリバーとビッグモーターです。
他にも一部の悪質業者が独自にクレームガード保険を用意しているケースもあります。
そのほかの業者であれば、クレームガードの扱いもなければ、瑕疵責任についての説明もほとんどされないでしょう。
クレームガードの案内がなければ、お客側からクレームガードの必要性や万が一査定に見落としがあったり、受け渡し後にトラブルが発生した場合の対処を確認する必要はありません。
あえて確認すると、万が一受け渡し後に買取額の減額する事態になった時にこのお客なら返金請求できると思われて状況が不利になります。
クレームガードの案内がなければ、契約後の減額請求は一切ないのが当たり前で、何かあれば業者側の責任だと強気の姿勢を取ってください。
ここで勘違いしないでほしいのが、クレームガードを扱っているからといって、その業者が悪い業者とは限りません。
クレームガードを扱っている大手チェーンは、規模が大きい大手だからこそ、融通が利かずルールに則った仕事しかできないため、トラブル回避のためクレームガードを用意しています。
クレームガードを扱っている事自体はお客側から見ればマイナスポイントですが、こうした大手だからこそ自社のネットワークを活かしてクレームガードの費用を差し引いても、他社を上回る高額買取を提示するケースが多数あります。
クレームガードの取り扱いは関係なしに複数の業者を比較する事が車を高く売るための近道です。
クレームガードは丸儲け
クレームガードは最近大手チェーン店を中心に導入がはじまった新しい制度です。
それまでは、クレームガード保険は存在せず、買取後の見落としや不具合は原則全て業者が損失を負担していました。
つまり、クレームガードは従来業者が背負っていたリスクをお客が有償の保険に加入して負担する制度です。
あくまでも保険なので、クレームガードで支払った費用が全額業者の利益になるわけではありません。
しかし、クレームガードが適用になる見落としや不具合が発生するケースは、プロの査定士が買取している事を前提に非常に少ないです。
クレームガードを扱う買取業者は、本来業者が背負うリスクがなくなり、なおかつクレームガードによる収入が増えるので丸儲けの状況となっています。
ガリバーの場合は、最大手の強みを活かして高額査定を出せるアドバンテージがあるので、その他社より高い買取額の一部をお客に保険として負担してもらおうという思惑があるのではないでしょうか?
逆に中小規模の業者の場合は、お客にクレームガードの費用を請求すると実質買取額が安くなり、成約率が下がってしまうため、扱いたくても扱えない状況となっています。
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