ニッパチは車が売れない!?
車業界には「ニッパチは車が売れない」、「ニッパチは閑古鳥が鳴く」などの格言があります。
ニッパチとは名前の通り2月・8月のことで、閑散期になってしまう最大の要因は決算月を控えて様子見をする人が増えるからです。
実際に3月や9月の決算期は、業界用語で「メーカー対策」と呼ばれる販売店に対してメーカーから値引き補助を行うキャンペーンや、一定の登録台数をクリアした販売店に対してメーカーが報奨金を支払うなどして販売を強化しています。
新車を購入するのであれば、値引き枠が増えやすい3月・9月の決算期を狙うとよいでしょう。
それでは、車を売却する際の影響はどうなるのでしょうか?2月で見た場合、3月や1月に比べて中古車の流通価格や査定価格が極端に下がることはありません。
ただし、ニッパチと呼ばれる時期は複数社から査定を取る重要性が高まります。一部で閑散期だとやる気のない対応をする店舗や営業スタッフがいるので注意しましょう。
営業マンのモチベーション低下
ニッパチは営業マンのやる気が低下し、労力を費やす商談を早めに降りようとするケースが増加します。
買取店の経営者や店長レベルは閑散期を理由にダラダラした仕事をする営業マンを厳しく指導しますが、店長レベルでもニッパチは早いタイミングで諦めて、赤字スレスレの査定交渉には応じなくなるケースが多いです。
捉え方を変えればニッパチだからこそ月間トップセールスを獲得する難易度が下がる一面があり、月単位で赤字を出さない目的や決算期の在庫確保へ向けて買取を強化するなど、モチベーションが上がる要素も多少はあります。
実際に車を売却する際の商談では、閑散期を理由に好条件を出したとセールストークする事例をよく見られますが、実際には口だけで特別な条件になっていないことが多いです。
閑散期に営業マンや店長のモチベーションが低下してしまうのは、多くの車業者が導入する歩合システムが関係しています。
車業界の歩合システム
車の販売店や買取店の多くは、歩合制の給与形態になっている会社が多いです。
歩合システムの内容は業者によって異なりますが、多くの車業者は月単位で一定の基準を超えると歩合割合が高まる制度になっています。
一例としてA社では買取台数が1~3台までは1台につき1万円の歩合給。4~6台は3万円。7台以上は5万円と歩合割合が高まっていきます。
ほかにも、月単位で一定以上の結果を残すと賞与が上乗せされる。3月・9月の繁忙期は賞金つきの販売コンテストを開催するなど、各業者で歩合給の制度は様々です。
全体的に言える傾向としては、毎月5台ずつ年間60台の成績を残すよりも、0台の月と10台のつきを6回ずつで年間60台の成績を残した方が高年収になる歩合システムになっているケースが多いです。
つまり、販売店や買取店の営業マンが年収を高めるためには、単月で好成績を残すドルフィンキックが近道になります。
ニッパチなどの閑散月はどれだけ努力をしても成績を高めることに限界があり、3月・9月の繁忙期は自腹を切ってでも成績を高めようとする営業マンが増えます。
店長も同様の歩合システムになっていることが多く、店舗や業者単位で繁忙期・閑散期の対応が変わることを覚えておきましょう。
仕入れ特需はないの?
ニッパチ(2月8月)は繁忙期である3月・9月に備えて中古車販売店が仕入れを強化する時期だと思われがちですが、中古車の流通価格が上昇することはありません。
中古車販売店はいざとなれば業者用オークションから車を仕入れることができ、いくら3月などの繁忙期でも在庫が全部売れることは滅多にないです。
そのため、私が勤務していた買取店ではニッパチを理由にした仕入れ強化で特別条件の決済が出ることはありませんでした。
競合した際も同様で、ニッパチを理由に他社の査定額が高まることはなく、どこの業者も在庫リスクの高まるような価格での仕入れ(買取)は慎重に行っています。
車業界の決算期における影響を詳しく知りたい方は、コチラの記事をご覧になってください。
ニッパチは避けるべき?
冒頭で紹介している通り、新車購入時の値引き条件に比べて売却時の買取価格が悪くなる要素は少ないです。
中古車の価値は原則として時間の経過とともに下がっていきます。少しでも高く車を売るのであれば、早めの行動を心がけましょう。
ただし、ニッパチなどの閑散期は歩合システムによるモチベーション低下で悪い買取条件を提示する業者が増えます。
買取価格の最大値には変化がないので、ニッパチに車を売るのであれば他の時期以上に複数社の査定条件を比較する重要性が高いです。
初度登録からの経過期間に応じて受ける減点の影響は、車種や状況(車検残など)によって変わります。
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