車業界で横行する軽自動車の車庫証明詐欺

軽自動車イメージ

車の購入および名義や住所の変更をする際は車庫証明が必要です。
乗用車やトラックなど軽より大きい車は登録する際に車庫証明を取得しておく必要がありますが、軽自動車は原則として車を登録した後に車庫証明を届出するルールになっています。

ここからが本題ですが、著者が勤務していた車買取店は自社の名義へ変更する軽自動車の車庫証明を取得していませんでした。
軽自動車の車庫証明は一部地域を除いて届出が義務づけられていますが、不届でも罰則を受ける可能性は極めて低いです。

車買取業者が車検の残っている車を一時的に自社名義へ変える際のルール違反は業者側の都合ですが、販売店では購入者から手数料をもらって車庫証明を届出しない事例を多く見られます。
代行手数料・印紙代の手数料をもらって何もしないのは立派な詐欺ですよね?
今回は車業界で横行する軽自動車の車庫証明詐欺について、業界の裏側を暴露します。

車庫証明のルール

前回のコラムでは車庫証明を自分で申請して車購入や名義変更時の手数料を節約するテクニックを紹介しました。

車庫証明のルールを簡単にまとめると

乗用車は2,600円前後の印紙代が必要
乗用車は「申請→警察官の現地確認→交付」の流れで申請から交付まで3~4営業日かかる
各種書類は警察庁のホームページから取得できる
業者に車庫証明の代行を依頼すると1万円前後の手数料を取られる

車庫証明の申請方法や必要書類の詳細が知りたい方は前回のコラムをご確認ください。

軽自動車は特殊

車庫証明は原則として公道を走る全ての四輪車に必要ですが、軽自動車だけ特殊な扱いになっています。
紹介している通り、軽自動車は登録手続きをする際に車庫証明は必要なく、後から届出をすれば良いルールになっていて、登録後○日以内など届出期日の定めもありません。

車庫証明に必要な書類は基本的に乗用車と一緒ですが、通常は2,600~2,750円かかる印紙代が軽自動車は500~550円で済みます。(印紙代は都道府県によって異なる)
軽自動車の車庫証明で印紙代が安くなる理由は、乗用車とは異なり警察官が保管場所の現地調査をしないからです。

つまり、軽自動車の車庫証明は書類のみで交付され、通常は申請と交付で2回警察署へ足を運ばないと行けないところ、軽自動車は申請時に車庫証明が即日交付されます。
制度上の盲点を突けば、実態のない車庫であっても必要書類や保管場所の住所、所在図・配置図の書類さえ用意できれば車庫証明を取得できてしまうルールです。

軽の車庫証明未申請は違法?

軽自動車の車庫証明を申請しない行為は違法です。
車庫証明関連の違反と罰則内容をご覧ください。

保管場所の不届、虚偽の届出

罰則:10万円以下の罰金
違反点数:なし

道路を車庫代わり使用

罰則:3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金
違反点数:3点

道路における長時間駐車

罰則:20万円以下の罰金
違反点数:2点

参考大阪府警察 車庫関連の罰則等
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/syako/4/3772.html

ご覧の通り、軽自動車でも車庫証明を申請しなかった場合は、保管場所の不届で10万円以下の罰金刑を課せられます。
インターネットを通じて多くの方へ情報発信している当サイトの立場としては、「軽自動車であっても車庫証明は必ず出してください」としか言えません。

なお、一部地域では軽自動車の車庫証明が不要になるケースがあります。
主に人口10万人未満の自治体で大都市からの距離が遠いことが条件です。人口密度が低くて駐車違反をほとんど取り締まりしていないような地域は、軽自動車の車庫証明が不要になる可能性があります。

郊外と呼ばれる地域にお住まいの方は、軽自動車の車庫証明が必要なのか確認をしておいてください。
おおよそですが、国内の8~9割以上の地域で軽自動車の車庫証明が必要です。

ここからは業界の暴露トークですが、私が勤務していた車買取店では軽自動車の車庫証明を出したことがありません。
主に買取した軽自動車を自社名義へ変更する車両を慢性的に車庫証明不届で対応していましたが、罰せられたことはありませんでした。
業者が継続的に行っても問題が生じないので、個人が自分の軽自動車で車庫証明不届をしても取り締まりを受けるリスクは限りなく低いでしょう。

軽自動車の車庫証明は登録後に申請するルールがありますが、期日の定めはありません。
おそらくですが、初犯で何も警告のない中でいきなり罰金刑を科せられる可能性は限りなくゼロに近いです。
万一、車庫証明を出していない理由で警察から注意された際は、「忘れていました。すぐに車庫証明を取得します」と答えるようにしてください。

念のため、Twitterを中心に軽自動車の車庫証明で罰則を受けた情報を探しましたが、一切確認できませんでした。
SNSで情報が溢れている現代において罰金刑を科せられた情報が出てこないのは、法律上は違法になるけど警察がほとんど取り締まりを行っていない証拠でしょう。

繰り返しますが、当サイトは法律で罰則が記載されている以上、軽自動車でも車庫証明を申請することを推奨します。実際に車庫証明を出すかは自己判断で決めてください。

車販売店の車庫証明詐欺

車販売ディーラーから車を購入するイメージ

ディーラーや中古車販売店は、当サイトと同様に立場上は「軽自動車でも車庫証明を出してください」としか説明できません。
そして、車庫証明の代行手数料と印紙代を計上した内容で車の見積書を出します。

ここまでは常識に沿った対応だと言えますが、新車ディーラーや大手中古車販売チェーンを含めて、信頼できそうな販売店でも軽自動車の車庫証明を申請せずに放置するトラブルが多発しています。
基本的に営業マンなどスタッフ個人の怠慢な対応になり、手数料と印紙代を受け取っているにも関わらず意図的に申請しないで放置するのは明らかな詐欺行為です。

ただし、詐欺罪として立件させることは困難で、車庫証明詐欺をする業者でも一言クレームや確認の連絡を入れれば後からすぐに対応してもらえます。
言われてから対応すれば問題ない現状によって、店長や本部もスタッフ単位の未申請トラブルを管理しない対応をしていることが多いです。

販売店の車庫証明詐欺を懸念する方は、購入する時点で一言確認を取っておけば対処できます。
ストレートに「ちゃんと車庫証明はやってください」と言ってもいいですし、「ちなみに車庫証明はいつ頃届きますか?」などと話題に出すだけでも車庫証明不届詐欺リスクを軽減できます。

購入後も車庫証明を受け取っていない場合は。遠慮なく「車庫証明はどうなっていますか?」と問い合わせてください。
確認連絡をすれば迅速な対応を期待できるでしょう。

一方で登録日の即日納車ではない状況で納車時の書類に車庫証明が入っていない場合は、自分から言わない限りはどれだけ待っても車庫証明を申請してもらえない可能性が高いです。

軽自動車は自分で対処する

当サイトがもっとも推奨する対処法は、車を買う時に販売店へ車庫証明を依頼しないことです。
車庫証明は必要書類を揃えて管轄の警察署へ行けば簡単に対処することができ、乗用車とは違って車庫証明の即日交付を行っています。
警察署の車庫証明窓口は平日の日中のみですが、いつまでに手続きが必要などのルールはないので、土日休みの方でも無理のないスケジュールで対応できます。
車庫証明に必要な書類は乗用車と同様に以下の内容です。

4枚綴りの申請書(警察署か販売店から入手可能)
所在図、配置図
自認書or承諾書
500~550円の収入印紙(警察署近隣で入手可能)

必要書類の書き方を詳しく知りたい方は、前回のコラムをご覧ください。

今回は車を購入する際に諸費用を節約するテクニックと、車庫証明の未申請詐欺が横行されている車業界の裏側を暴露しました。
当サイトのコラムでは車の売却や維持に関するお役立ち情報と、車業界の暴露話を幅広く紹介しています。
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